なんで私ばっかり?「次」への不安と、寂しがりPの誘惑

「あ、メッセージ来てる…」

スマホの通知音に、思わずドキッとした。ペイターズを開くと、見慣れたアイコン。そう、この「けんた」さんからだった。LINEの返信がやたら早くて、ちょっぴり寂しがり屋な彼。最初のメッセージから「いいね」を連打してくれて、なんだかんだで3回くらいお会いしている。でも正直に言うと、毎回「次、どうしようかな…」って悩んでしまう。

「今週、空いてる?いつものお店、予約しておいたよ」

「いつものお店」って言っても、私たちが「いつもの」って呼べるような関係なのだろうか。毎回、彼がリクエストしてくるお店は、私が自分では絶対に行かないような、高級フレンチだったり、夜景の綺麗なバーだったり。もちろん、その分お手当はちゃんとしているから、金銭的な不満は全くない。むしろ、感謝すべきなのかもしれない。でも、なんかこう、私の知らない世界に連れて行ってもらってる感と、それに甘えきれない自分がいて、いつもモヤモヤする。

「ルミネのABC canteenで顔合わせしませんか?」

最初に会ったのは、そんな感じで、まだお互い様子見の段階だった。お店はカジュアルだけど、駅直結で便利だし、初めて会うにしてはちょうどいい場所だったと思う。そこで彼の人柄に触れて、「あ、この人、ちゃんと話聞いてくれるんだな」って安心したのが、次につながったきっかけ。でも、そこからが、私にとっての「試練」の始まりだった。

「なんか、私、断るのが苦手なんだよね。いい顔しちゃうというか…。それで、つい流されちゃうというか…。でも、それは本当によくないなって、いつも反省してるんです。」

「高いお店」の裏に隠された、彼の「寂しさ」?

「今度、夜景が綺麗なレストランに行きたいんだけど、一緒に行かない?」

「けんた」さんからのメッセージは、いつもこんな感じ。誘い方もスマートで、断る余地を与えないような空気感がある。もちろん、私は大人の関係には踏み込まないって決めているから、そういう誘いは丁重にお断りしている。でも、その度に「あ、また断っちゃった…」って、なんだか自分が冷たい人間みたいに思えてきちゃうんだ。

「えー、でも、せっかくだから、色々な経験をしてほしいなと思って」

「料理も美味しいし、きっと気に入ると思うよ」

そう言って、さらに乗ってくる彼。その瞳の奥に、ほんの少しの寂しさが見えるような気がするんだ。私といる時間を、ただ楽しんでほしい、もっと私に心を開いてほしい、そんな彼の気持ちが伝わってくる。だから、余計に「断れないな…」って思っちゃう。この「いい人」を演じ続けることのコストって、意外と高いのかもしれない。

「なんか、私、このままでいいのかなって思う時があるんです。彼に嫌われたくない、っていう気持ちと、自分の線引きをしっかりしたい、っていう気持ちが、いつもせめぎ合っていて…。でも、結局、流されちゃうんですよね、情けないな…。」

「この間も、すごく素敵なイタリアンに連れて行ってもらったんですけど、本当は、もっとカジュアルなお店でも全然良かったんです。でも、彼が『君には、良いものをたくさん経験してほしいんだ』って言うから、断れなくて…。お手当も、ちゃんとしているから、不満はないんですけど、なんか、私ばっかり良い思いさせてもらってるみたいで、逆に申し訳なくなっちゃって。」

でも正直に言うと、彼が選んでくれる高いレストランで、美味しいものを食べるのは、やっぱり嬉しい。非日常感があって、普段の生活では味わえない特別感がある。だから、完全に「嫌だ」って思えない自分がいるのも事実。この気持ちが、私をさらに混乱させるんだ。

「次」への期待と、消えない不安

「けんた」さんとの関係は、今のところ「継続中」。お手当もきちんといただいているし、会っている間も、彼は紳士的。でも、時々ふと、「この関係って、いつまで続くんだろう?」って不安になる。彼が求めているのは、もしかしたら、もっと深い関係なのかもしれない。そして、私に「いい子」でいてもらうために、色々な経験をさせて、喜ばせようとしているのかもしれない。

「なんか、私、彼に『都合の良い子』だと思われてないかなって、時々心配になるんです。だって、私、断れないんだもん。流されちゃうんだもん。でも、彼が寂しそうにしてるのを見ると、つい、優しくしちゃうんですよね。本当は、ちゃんと自分の気持ちを伝えないといけないのに。」

「この間も、『今度、旅行に行きたいね』って言われたんです。もちろん、日帰りじゃなくて、一泊で。その時、頭の中で『ダメだ、ダメだ』って警報が鳴り響いたんですけど、でも、顔がニコニコしちゃって、『いいですねー!』って言っちゃって…!もう、自分でもどうしようもないなって思いました。」

「でも、正直に言うと、旅行とか、もっと深い関係に進むのは、まだ怖いんです。だって、一度そういう関係になっちゃったら、もう後戻りできない気がして。それに、お別れする時も、きっと辛いだろうなって思うから。だから、今は、このくらいの距離感を保ちたいんです。でも、彼がそれを望んでくれるかは、分からないけど。」

正直、彼との関係は、私にとって「ちょうどいい」とは言えないのかもしれない。でも、完全に「切る」こともできずにいる。だって、彼は、私に「いい経験」をさせてくれるし、何より、私に「必要とされている」ような感覚を与えてくれるから。それは、就活で自信を失いがちな今の私にとって、何よりも魅力的に映ってしまうのかもしれない。

「次は、もっとはっきり断れるようになりたいな。でも、それができる自信は、正直、あんまりないんだよな…。とりあえず、次のメッセージには、もっと冷静に対応しよう。うん、そうしよう。」